ヨーロッパを代表するカジノ企業「カジノ・オーストリアAG」の全貌と実力
あなたが「カジノ」を思い浮かべるとき、真っ先に思い浮かべるのは、マカオやラスベガスではないでしょうか?
しかし、カジノの歴史を見ると、まだ数十年しか経っておらずその歴史は意外と浅いのです。
カジノ発祥の地はヨーロッパ。
ルイ15世の時代にフランスにおいてカジノの元となる賭博場が広まったといわれている。
その後カジノが合法化されたのが1907年となるので、100年以上カジノの歴史がヨーロッパには存在する。
日本のカジノ合法化は、もう間もなくといわれ続けている。
華やかなマカオやラスベガスに目が行きがちだが、カジノの歴史を創ってきたヨーロッパカジノの理念や戦略を学ぶことは、今後の日本カジノ合法化にも役立つのではないでしょうか。
そのような思いである企業に焦点を当て、その全貌と実力を検証する。
カジノ・オーストリアAG
は、ヨーロッパのカジノ企業の中でも最大規模を誇る。
オーストリア国内ではただ一つの政府によるカジノ認定企業として、その発展を担ってきた。
さらに、カジノ運営のノウハウを世界各地のカジノに提供してきた。
カジノ発祥の地であるヨーロッパは、巨額の資本を投じて発展してきたマカオやラスベガスカジノとは一線を画した形で発展を遂げてきた。
カジノ・オーストリアAGは正にその見本であり、長期間に渡りカジノプレーヤーを魅了し続けるカジノをどのように構築するかを教えてくれる。
オーストリア国内におけるカジノ・オーストリアAGの事業
オーストリアでは、遥か昔からゲームで賭けをして楽しむ習慣が貴族の間で盛んであった。
日常的な「賭け事」の文化を背景に、社交の場として自然とカジノが発展していった。
オーストリア政府がカジノを解禁したのは、1934年のこと。
当初はオーストリア人が自国でカジノをプレイすることは認められず、外国人専用として営業していた。
その後、カジノは国により重要な収入源と位置付けられるようになり、国が管轄する独占事業となった。
国からの委託を受け、カジノの運営を任されているのが、カジノ・オーストリアAGである。
1968年に設立されると政府により国内唯一のカジノ企業と認められ、オーストリア国内全てのカジノ経営をしている。
カジノ・オーストリアAGはグループ会社として海外におけるカジノ事業を担う「カジノ・オーストリア・インターナショナル」を含む、計5社を傘下に収めている。
他の4社とその事業内容は以下の通り。
オーストリアン・ロタリー
ロトくじの運営
TIPP3
スポーツベッティングの運営
WIN2DAY・AT
オンラインカジノゲームの運営
WINWIN
ビデオ・スロットマシンを設置した店舗の運営
海外展開を大規模に行うカジノ・オーストリアAG
カジノ・オーストリアAGがオーストリア国内だけではなく、海外展開に力を入れていくきっかけとなったのは、1976年にオランダ政府の要請を受けてオランダカジノの立ち上げに協力したことであった。
その翌年、海外事業に本腰を入れるため、カジノ・オーストリアAGの子会社「カジノ・オーストリア・インターナショナル(CAI)」を設立した。
それから40年ほど経った今、ヨーロッパにおいては最大規模のカジノ運営企業となった。
- ヨーロッパ9カ国(イギリス、スイス、ドイツ、ベルギー、チェコ、デンマーク、ギリシャ、ハンガリー、セルビア)
- カナダ
- エジプト
まで、CAIのネットワークは広がっている。
現在世界14カ国35ヶ所にまで広がっている。
毎年1月にロンドンで開催されている「国際ゲーミング賞」において、CAIは2011年、2012年と2年連続で「ヨーロッパにおける最高賞」を獲得した。
カジノ・オーストリア・グループのように世界規模で活躍し、高い評価を得ているカジノ事業者は中々いない。
今後においてもカジノゲーミング産業のリーディングカンパニーとして活躍を期待されている。
カジノは「大人の社交場」であることがカジノの役割であるという考え方
一攫千金を夢見てただ単にギャンブルをする場所ではなく、夫婦や親しい友人たちと訪れて楽しい夜を過ごす「大人の社交場」を提供するのがカジノである。
カジノ・オーストリアはそのような企業理念で展開している。
社交場としてのカジノと、高級レストランのディナーで過ごすゆったりとした時間、最高のエンターテインメントやコンサート。
これらが全て一体となり来場者に楽しんでいただくのがカジノ事業者の役割と考えている。
カジノ・オーストリアはこのような考え方に基づき、新しいかたちのカジノをオーストリア、スイス、ベルギーなどの各地に次々オープンさせた。
その全てにおいて成功を収め、カジノとレジャーで「大人の社交場」を提供するというコンセプトは、世界のカジノに大きな影響を与えた。
だが、設備だけではカジノ来場者を満足させることは出来ない。
もう一つ大切なのはお客様をおもてなしするスタッフの質である。
カジノ・オーストリアではスタッフに対して、業務に必要となるカジノに関しての知識だけでなく、語学やIT、マネジメントに関する知識をスタッフ教育の一環として取り組んでいる。
さらに、情報共有や社内教育を行うため、「カジノ&ロトアカデミー」を設置した。
この組織は蓄積されたカジノに関するノウハウ、グループ会社や設備の最新情報が集められ、セキュリティーやデータの保護、マネーロンダリングの防止に関するノウハウを共有する。
カジノ・オーストリア・インターナショナルの協力、支援活動
カジノ・オーストリア・インターナショナルの企業としての利益追求ではない、企画立案活動を紹介します。
スイスでは、2000年にカジノが合法化された。それまでの1995年からの5年間、カジノ・オーストリア・インターナショナルはスイス政府をサポートし、カジノ法案の最終案作成に携わった。
2005年にアメリカ南部を大型ハリケーン「カトリーナ」が襲い、大きな被害をもたらした。
多くの建物が崩壊し、復興支援が必要となったため、ミシシッピ州政府は民間企業からの資金を募ってカジノを導入することを決め、カジノショッピングセンターの開発を決めた。
カジノ・オーストリア・インターナショナルはこのプロジェクトに多大なる協力をした。
カジノ・オーストリア・インターナショナルは、日本のカジノ合法化への話が高まった2004年には、沖縄でのカジノ計画に関して協力することを表明した。
昨今、「観光立国」として政府の方針が発表される中にも、カジノIR(統合型リゾート)構想も含まれている。
カジノ以外のレジャー施設を他の真に、滞在日数を増やす観光資源としてのカジノは、海外からのインバウンド拡大で、カジノ産業を発展させ経済を活性化させることが期待されている。
世界一のカジノ国であるマカオや、莫大な資金で砂漠にオアシスを造ったラスベガスだけがカジノではない。
観光立国・日本としての、「日本型カジノ」創設にあたり、歴史があり、あらゆるスタイルのカジノを手がけてきたカジノ・オーストリア・インターナショナルのノウハウは、今後の日本カジノ合法化に関しては学ぶべき点が多いのは明白である。
(参考)カジノジャパン2014vol.29