世界一のカジノ都市・マカオの現在と進化する未来
あなたの「マカオ」に関するイメージは、きっと「カジノ」と「世界遺産」ではないでしょうか。
2005年に世界文化遺産に登録されたことで一気に知名度が上がり、カジノに関しても最近になって取り立たされるようになってきた。
しかし、マカオはカジノ都市としての歴史は長く、16世紀にまでさかのぼる。
古くは「東洋のモンテカルロ」と揶揄され、マフィアが仕切る賭博の街としてのイメージがついていた。
そんなマカオは21世紀に入ると「東洋のラスベガス」として華やかで安全な街としてのイメージに変わっていった。
そのきっかけとなったのは、2002年にカジノライセンスを外国の企業にも開放したことによる、IR(統合型リゾート)への転換である。
単なるギャンブルだけでなく、女性や家族連れでも楽しめる街づくりをしていった結果、現在では年間約3,000万人もの観光客が訪れる人気の観光地となった。
また、カジノの売り上げは年間約4兆5,000億円で、ラスベガスの約7倍稼ぐ計算となる。
カジノに関しては現在も年間二桁成長を続けていて、国民一人当たりのGDPはアジア最高となり、空前のカジノバブルの状態になっている。
日本におけるカジノ解禁が少しずつ現実となる昨今、世界最大のカジノ都市であるマカオに関しては、参考にする部分が非常に多い。
世界一のカジノ都市・マカオの歴史
16世紀半ばの大航海時代の1557年、ポルトガルはマカオ居留権を獲得した。
マカオはアジアとヨーロッパをつなぐ重要な貿易拠点としての役割を担い、街は発展していった。
街の繁栄と共に人口も増大していき、主に中国本土からマカオへ移民した建設事業者の間で賭博をするようになった。
賭博は流行し、市内のあちらこちらで勝手に賭博場を開いていたという。
そんな流れを止めるべく、政府がギャンブルを管理するようになったのは1847年になってから。
そのきっかけはアヘン戦争である。
香港がイギリス領となり、ポルトガルの国力が衰え、香港が貿易港として発展したことによりマカオの地位が低下してしまった。
産業の多角化と税収の多元化を図りたい意向を持つポルトガル・マカオ政庁が目を付けたのがギャンブルである。
そうして、政府の管理下で小規模カジノを運営することなり、200以上ものカジノが運営され大盛況となった。
1930年になると、豪興公司がマカオのカジノ運営独占権を獲得する。
マカオの玄関口である内港の目の前の一等地にカジノを建設した後、革新的なアイデアを次々と取り入れていった。
カジノホールの豪華な装飾、ゲーミングテーブルの設置、フリードリンクやタバコサービスなど、当時からおこなっていた。
豪興公司によるカジノ独占営業が順調に続くなか、第二次世界大戦が勃発し香港からの顧客が激減。
その結果、1942年にカジノの営業を停止することとなった。
その後約20年の時を経て1961年に、マカオ総監マルケスの指示により、ポルトガル政府はマカオを「恒久カジノ特区」として開放することを決めた。
マカオをカジノ及び観光業を中心に発展させる低税制地区とした。
豪興公司のカジノ独占営業権が満期を迎え、現在のカジノ王としても知られるスタンレー・ホー氏率いるSTDM(澳門旅遊娯楽有限公司)が独占権を獲得した。
この会社が現在のSJMの前身となっている。
それから約40年間、スタンレー・ホー氏の独占営業が続くことになる。
最初のカジノ施設として「新花園カジノ」をオープンし大盛況を収める。
その後、1970年にマカオカジノのランドマークとなる「リスボア」を開業した。
1999年ポルトガルから中国への返還を契機に、マカオのカジノは更に発展を遂げていく。
今までのカジノ一辺倒から、リゾート都市への変貌を遂げるため、初代マカオ特別行政区行政長官のエドモント・ホー氏が行ったのは、カジノライセンスの開放である。
約40年間続いたSTDMのライセンス期限が2001年で満期を迎えるのにあたり、マカオの経済発展と成長のため、新たに3社にカジノライセンスを発給することを決めた。
そこで新たにライセンスを獲得したのが、
- SJM(スタンレー・ホー氏率いるSTDMの新会社)
- ギャラクシー(香港系)
- ウィン・リゾート・マカオ(アメリカ系・スティーブ・ウィン氏率いる会社)
の3社である。
その後新たに3社
- ヴェネチアン(アメリカ系)
- MGM(アメリカ系)
- メルコ・クラウン(マカオ・オーストラリア系)
がカジノライセンスを獲得し、現在6社が運営している。
それからの急成長振りは目を見張るものがあり、2014年1月時点でマカオで営業するカジノは35軒となっており、6社全てがコタイ地区にて大型IR施設の拡張・建設工事を展開している。
2002年より始まった6大カジノ企業によるプロジェクトは、2017年頃までにひと段落する予定である。
各社のライセンス満期になる2020年〜2022年において、どのような方針でマカオが進んでいくのか。
今後の展開に注目が集まる。
マカオでカジノライセンスを持つ6大企業
会社名 | カジノ施設数 | ライセンス満了日 | 代表者 |
---|---|---|---|
SJM | 20 |
2020年3月31日 | スタンレー・ホー |
ウィン | 1 |
2022年6月26日 | スティーヴ・ウィン |
ギャラクシー | 6 |
2022年6月26日 | 呂志和 |
ヴェネチアン | 4 |
2022年6月26日 | シェルドン・アデルソン |
MGM | 1 |
2020年3月31日 | パンジー・ホー |
メルコ・クラウン | 3 |
2022年6月26日 | ローレンス・ホー |
(参考)カジノジャパン2014vol.29